「チンクのつばさ」

これまでのおはなし
 
意気揚々、前途多難なチンク生活を開始したKatsuse。イグニッションコイルの抵抗がないがために訪れた悲劇と、何人かの協力とたくさんの罵声と声援を受けての復活の物語を経て、購入後初の蜜月を過ごす彼の前にはだかったボンネット自動オープンと言う喜劇。
 さらに彼をおそうトラブルとは?

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チンクと夜と写真機と その1

 完全復活した赤チン。

 そう、全塗装から帰ってきたのは年の瀬迫る12月30日。
 マエストロ前浦さんから夕方、赤チンを受け取って揚々と帰路につく。なにせぴっかぴか。塗料のにおいが薫る室内。一発始動のエンジンに気をよくし、ライトオン。近くの自動販売機の前で停まり、あらためて眺める。日はとっぷりと暮れ、人通りも減っている道ばた。思わず笑みがこぼれる。ほんとに前浦さんの腕はいい。傷がついていたボンネットはもちろん、錆が浮いていた部分も完全に塗ってくれてある。バンパーの付け根やマフラーまで黒で塗ってくれている。けっこうミラの鉄板も使ったそうだ。これで、iMacよりも安いのだから驚く。ちなみに、パテがひと缶で足りなかったぐらい必要だったとか。前浦さんも赤チンを仕上げて仕事おさめだと笑ってたっけなぁ。

だけど、さっきから気になっていることが一つ。
 
左のウィンカーがつかない。
ハザードをつけてみる。ちゃんとつく。ライトの球が切れたわけではないのだ。ライトを消してウィンカーをつけてみる。やっぱりつかない。でも驚かない。もともと左のウィンカーの反応が鈍かったのだし、塗料がどこかに入り込んで接触不良させてしまったのかも知れない。

 その日はなるべく左折しなくても良いように遠回りしながら帰った。
ついでだから、ヒロキ@電器屋のところで見てもらおう&見せびらかそうと思いついてよってみたが、今日は家業の電器屋が定休日。やすみだぞぅ〜帰ってくるもんか。絶対水曜日は家にいないんだもの。

 家に帰りついて早速ドライバーを取り出し、リアのウィンカーランプを取り外す。
と、オドロキ。中の白いプラスティックがぼろぼろと崩れていくではないか。やあ、この部品はもしかしたら赤チンがうまれた時からここでいるのかなぁと思い、しばし32年の年月に思いをはせて感心。
 取りあえず、各端子を磨いて再び装着。ウィンカーをつけてみると・・・。
かすかにつきはじめた!

 しばらくそうやっていると、車幅灯をつけるところまではウィンカーもついてくれる。でも、ライトをつけるとつかない。どうやら左ウィンカーのところだけ電圧が上がらないようだ。
って、ホントにそうなのか?点滅が
やったら早いぞ。

 こりゃあ、配線総とっかえかな?

PRE-VIEW
購入後初の蜜月を過ごす彼らの前にはだかる数々の障害の中でもがくKatsuse。はたして赤チンの左ウィンカーがゆっくりと点滅する日はくるのか?それでも天気も快調エンジンぜっこうちょぉ〜!な、彼らをおそうトラブルとは?

次回、チンクと夜と写真機と 2
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その2

 その晩。
帰郷する中学以来の悪友
を迎えに港へと急ぐ赤チン。おなじくこちらは幼稚園時代からの悪友Fujiedaくんとともに、動くようになった赤チンを始めて見るがどんな反応をするか予想する。Fujiedaくん、「なんなコレ〜」。Katsuse、「プッ」(と吹き出す)。

 どっちもハズレ。

ぅっわぁ〜」でした(笑)。
かえってくるたんびにクルマが違うなぁ、などと言われつつ夜の闇を走り抜ける赤チン。

そういえば3人乗車は初めて。こころなしか発進に力がない。でも、車検証に記された乗車定員は五人であるにも関わらずな室内のタイトさ以外は万事オッケ〜。
 なんのかんのでいつもと代わり映えのしない年末年始を過ごし、復活した赤チンで飾った年賀状をおくったりしながら仕事始めを迎えたり。

 あいかわらず左のウィンカーはライトをつけると点灯しないけれども、日が暮れるまでには帰ってくれば大丈夫。1月もなかばになると、Nagaiの117がマエストロ前浦さんところにドック入り決定。第3期外科手術決行。と、ともにセカンドカージェミニくんが代車として貸し出され、すべてのお出かけを赤チンでこなすようになると、さすがに左ウィンカーをそのままにしておくわけにもいかなかった。けれどもそのころにはなぜか鈍いながらも左ウィンカーがつくようになっており、ライトをつけている時には思いっきりナカブカシしながら曲がると言う綱渡り的な運転で切り抜けていた。

そして、この冬最大の寒波が日本をおそう。

 寒さに震えながら赤チンの暖気運転をしていると、エンスト
まあ、さむいからちかたないのよ〜などといいつつ再びイグニッションレバーを引く。

あれ?スターターが回らない!

この冬最大の寒波が原因か、それともまたしてもポイント関連かなどと考えていたら遅刻しそうなので、なんとかその日はうちの軽トラで出勤。
次の日、原因はポイント関連だろうかと
King-Pinさんに電話してポイントを注文。午後からはDirexで2,480円の新バッテリーを購入して赤チンに装着してやる。と・・・。一発始動!

なぁーんだ。寒さでバッテリーが弱ってただけなのねん。

だがしかし。
「冬きたりばな春遠からじ」。

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この冬最大の寒波の中でエンジンがかからなかった赤チン。バッテリーが弱ってただけとはラッキーだったが・・・。冬は来たばかりで春はまだまだ遠い!忙しさの中でこそトラブルはつきものかと開き直るKatsuse。つぎに彼らをおそうトラブルとは、まさに目の前が暗くなるような出来事だった!

次回、チンクと夜と写真機と 3 ライトが・・・!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その3

 とある晩。
毎晩、残業をこなした私とともに機嫌よく帰宅する赤チン。
されど、ある晩突然目の前が暗くなるような出来事がおそう。

ライトがつかない!

なぜ?夕べはちゃんとついてたじゃない。
スモールはついてる。ハロゲンバルブは切れていない。ハイビームはつく。
 どこがいけないのだぁ〜?
インターネットを巡回してみる。
King-Pinさんの掲示板で同じ症状に悩んでいる人の書き込みがあった。
う〜む。なになに、ダッシュボード裏のコネクタが接触不良かも?
ボンネットをあけてみる。

どれがそのコネクタか分からない。

再びインターネットを巡回してみる。
なになに、コラムスイッチ(ウィンカーのね)の接触不良かも?

ハンドル&ボスはずしてみた。
でもコラムスイッチははずれない。
がしゃがしゃやってみる。はずれない。

むきぃ〜。

しばらくほおっておく。

三日ぐらいして思い出したようにライトをつけてみる。

あれ?つくじゃねーか!

いったいなんだったんだ?
やっぱコラムスイッチの接触不良だったのか?

でも次の日、やっぱりつかない。
焦ってパッシングしてみる。

ついた。

謎は解けた。犯人はコラムスイッチの接触不良だぁ〜。

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ライトがつかないと言うトラブルに遭遇したKatsuse。なんとか切り抜けたところで、はじめてのタイヤ交換計画を発動!でもやっぱし冬は来たばかりで春はまだまだはるかに遠い!むらっさんところで明かされる衝撃の真実とは?

次回、チンクと夜と写真機と 4 タイヤがない!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その4

 その後。
毎晩のようにライトはつかなかったが、そのたびにパッシングすれば素直につくと言う日々を過ごしている。

そんなおり、友人の勤めるガソリンスタンドで赤チンのタイヤに空気を入れてもらった時にあらためて

タイヤが風邪ひいてるなぁ〜(風邪ってタイヤのひび割れね)

と思ったわたしは、赤チンタイヤ交換計画を発動させた。
いつもお世話になっているむらっさんのところへタイヤの相談に行く。

けれど、行く前から気にかかっていることが一つ。

赤チンに装着されているタイヤのサイズは「125/60/12」というもの。
(125はタイヤの幅。単位はミリメートル。80は扁平率。単位は%。たしか125ミリ×60%でタイヤのゴムの厚さが75ミリとなる。12はインチで、ホィールの大きさ。)

幅が125ミリのタイヤって、あるのだろうか。

案の定、サイズを告げたときのむらっさんの返事は、

「んなもんあるかい」だった。

やっぱり。タイヤがないぃ〜!

最後までつくっていたミシュランでもすでに製造していないらしい。以前、AKI師匠もサイズがなくて「135」を入れたら、ホィールハウスに干渉するとか言っていたわ。確かに。それでも据え切りしたとき以外は大丈夫だとも言っていたので、その言葉を信じてチャレンジすることにしてみる。

だが、現物を隣に置いて比べるとその「135/80/12」は扁平率のせいで、異様に高い。なるほど、これでは干渉しそうだ。むらっさんのアドバイスで、思い切って「145/70/12」にしてみたところ、幅は心配だが、高さはこちらの方がよさそうだということになった。
 つまり、「135/80/12」では扁平率が大きいのでゴム厚が108ミリになるが、「145/70/12」ならゴム厚は101.5ミリということ。わずか6.5ミリの違いだが、上下合わせると13ミリ違ってくる。この差が決定打である。

とにかく、はかせてみなければわからない。さいわいしにて、リアタイヤのサイズが「145/70/12」だったので試しに取り付けてみることに。

「145」をはかせたところで、ハンドルを右に回したり左に回したりしてみて、指を入れたり下からのぞいたりしたところ、なるほど何とかぎりぎり大丈夫そうだった。(小指も入らないほど、というより、目一杯回せばやっぱり当たってるようでもある〜、ってカンジ?)

 決まり。「145/70/12」に決定賞〜(欽ドンか?)。これでフロントとリアが同じサイズになったわけですわ。さらに、なんだこのスペア、マルボウズじゃねぇ〜か(by次元)ってことでスペアタイヤも交換してみました。タイヤサイズが大きくなったのでボンネットが閉まりにくくなっちゃったけど、無理やり装着。5本交換で、しめて21,000円なり。

 こうして無事赤チンのサイズのあうタイヤを見つけ、作業中の待っている間にジェミニ用のカーオーディオ(SONYの2DINでCDとテープが聞けるやつ。本日限りの24,800円。安いっ!)をゲットし、ぴっかぴかの黒光りタイヤで意気揚々と帰宅した。

 ちなみに、車をジャッキアップするマシンにチンクはホィールベースが短すぎて載れなかったナリ。油圧ジャッキでしこしこあげるしかないんですねぇ〜。

感想は、「まっすぐはしるぅ〜(笑)」でござんす。

風邪を引いたタイヤではどうしてもバランスが悪いのかハンドルが振られていたのだが、ニュータイヤでは、しっかりした接地感とともに直進安定性の向上が体感できるのだ。

追記:チンクのタイヤには当然チューブが入ってました。昔のホィールは密閉性が悪く、自転車のタイヤのようにチューブが入ってたんですね。今回、チューブは交換せずにそのまま使用しました。

 

PRE-VIEW
無事、ニュータイヤをゲットしたKatsuse。そろそろライトへのてこ入れも計画中。次はオイル交換か?だが、むらっさんは交換作業を拒否!はたして二人の運命やいかに!

次回、チンクと夜と写真機と 5 オイルをいるる!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その5

 赤チンのライト状況はさらに悪化。
ついにいくらいじっても LOWもHIGHもつかなくなってしまった。正確には、パッシング状態(ライトのスイッチを手前に引いた状態)にすればつくのだが、そうすると片手運転と同じなので非常に危険。

 ある晴れた日の午後、急に予定がキャンセルになって暇ができたため、Fujiedaくんをさそって「むらっさんとこ」に行った。実は今までオイル交換をしたことがない。夏を前に早めに交換しておくべきでしょう。
 まえは交換作業を嫌がっていたむらっさんだったが、最近は優しく「いつでもおいで」と笑顔で迎えてくれる。
 むらっさん曰く、「わしが旧車に手を出さんのは、おまえらのおかげで旧車の(メンテナンスの)
疑似体験をしとるからやろな」と。わたしたちのクルマをいじるのが楽しみになっている様子。かたじけない。いや,合掌。

 いつの間にか店長に出世していたむらっさんのアドバイスどおりに、BPの「Vervis Formula 15W-50 SJ」をチョイス。本当は10W-40あたりがよいらしい(あるスジのハナシ)が、そんな在庫はないし、古いビートルなんかにも入れているものなのでこれでいいだろうという話。
 むらっさんは「店長の手を汚させるはおまえらだけだよ。まったく」などとつぶやきながらもうれしそうに作業してくれる。

 ドレンボルトからオイルを抜くのは替えのシールがないので上から抜くということに。2リットルくらいしか入らなかったので、残りは夏が終わったころに交換すればちょうどいい掃除になるだろうとのことなので、余りはお持ち帰り。

 と、特に何ということもなくオイル交換は終了。ホントはライトのこととかも見てもらいたかったのだが、朝からかかりっきりだというMINIのオーディオ付け(ものすごく大きなスピーカーとかアンプを付けてらっしゃった)でむらっさんは忙しそうなので今日は帰ることに。

 オイルを交換したと言っても特に変わった様子もなかったが、気分は爽快。
翌日から通勤に使ってみる。夜は走りたくないので明るいうちに帰ろうと思っていたら「かっせくん、これお願い!」と
残業を頼まれてしまった。当然帰りは片手運転。翌日も、明るいうちに帰ろうとしていたのに、昨日の書類の訂正を・・・なんて頼まれちゃしょうがない。2日連続で片手運転をするわけにも行かないので、その日は輪ゴムを使ってパッシング状態をキープするという小技を駆使して帰宅。まさか3日連続で残業はないだろうと思ったら、やっぱり残業で9時前。♪でも輪ゴムがあるもんね〜と帰宅途中に輪ゴムが突然切れてしまった!

う〜ん、やっぱライト直さないとやばいね。

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梅雨期間中、赤チンはガレージでお休み中だが、夜走れないのはちとイタイ。梅雨前線も去り、夏本番を迎えた今、Nagaiの117のようにむらっさんとこへ「バッ直線」を引きに行こうとしたKatsuseたち。とこえろが、エンジンをかけようとした途端に「バチン」という音が・・・。いったい赤チンに何が起きたのか?

次回、チンクと夜と写真機と 6 スターターワイヤー!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その6

 Nagaiのサブマシン「Power Book 180c」のハードディスクトラブルに二人して奮闘していた、とあるお休みの日。Nikiさんが「タイヤ交換するからむらっさんとこ一緒に行こうぜ」と現れた。それなら赤チンのバッ直線(バッテリーから直接電線を引くこと。ヘッドライトとバッテリーを直接配線して室内にスイッチを設けようという作戦。以前、RITMOでNikiさんが効果を上げている方法だ。)をしにいこうかということで話がまとまった。むらっさんへも電話で予約。「とりあえず見てみるからおいで」

 Nikiさんが、エンジンかけるぞ、と赤チンのスターターレバーを引くと・・・「バチン」という音が!
「かっせくん、すまん。レバー、
壊れた・・・
まさかスターターのワイヤーが切れたのかっ?なんちゃって。

 以前、チンクな掲示板でこの症状を聞いていたので、すぐに原因は分かった。

    +====+
    | ◎ |← +
    | 穴 |  |  
    |  |  +==========
     ↑レバー  ↑ワイヤー

左の図(わかるかなぁ)のようにスターターワイヤーはただ引っ掛かっているだけだったので、外れちゃうことがあるのですね。

その日はNikiさんは急いでいたので後日ゆっくり直すことにして解散。
急に行けなくなって、むらっさん、ご心配おかけしました。

2日後の夕方、Nikiさんと二人で作業に取り掛かった。
フロアーマットをはがすとスターター&チョークレバーのねっこがあらわれた。ねじを一つ外し、少し前にずらすと外れる。
案の定、ワイヤーが外れてただけで一安心。

なんでネジかなんかで固定してないんだろう?
 抜けないようにタイラップで応急処置。これがなかなかよいアイデア(by Niki)でした。固くて抜けにくくなりましたよ。オススメ。
 でも、穴の中から外れたワイヤーの先っぽを取り出すのは骨が折れましたね。
 そんなときは、カーショップなどで売っている内装配線ひっぱり用具(?のようなカギ状のもの)が大活躍。

みごとに復活。

 次はいよいよバッ直線をやりに行きますからね!むらっさん、よろしく!

 

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夜間外出禁止となっている赤チン。「バッ直線」という作戦を発動させたKatsuseだが・・・。最近むらっさんの登場回数が多くなってるよ〜な気もする。優しき仲間達に頼りっぱなしで、それでいいのか?Katsuseよ!はたして、赤チンのヘッドライトが無事にともる日は来るのか?

次回、チンクと夜と写真機と 6.1 写真機!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その6.1

 はじめて手に入れた写真機は「PENTAX SP」という一眼レフカメラだった。当時すでに「MINOLTA α7000」が登場し、世はまさに本格的なオートフォーカスブームに突入しようとしていたころだった。中学生のわたしにとって、最新の高価なオートフォーカスカメラなど買えようはずもなく、当時出入りしていたカメラ屋さんにてそのマニュアルフォーカスカメラを中古1万円で譲ってもらったものだった。

 中古の買い物をしたのは生まれて初めてのことで、中古でモノを買うという思考回路が組み込まれたのはこのとき。親父譲りの貧乏性とも相まって、いまだに何でも中古に心引かれる。部屋には中古68kMacが増殖中だし、これまで所有したすべてのクルマは中古でマニュアルトランスミッションというところも、「SP」に共通しているかもしれない。

 「PENTAX SP」は、天文小僧のわたしにさまざまな星空との出会いを提供してくれた。オリオン座、カシオペア座、北斗七星、夏の大三角形、さそり座の赤い星、いろんな姿の月。教科書で見たような北天のぐるぐる日周運動など、SPと三脚を担いで夜な夜なレリーズのボタンを押す日々が続いていた。

 ある日、「PENTAX SP」のシャッターボタンが壊れた。
 三脚をあやまって倒してしまい、おりたボタンが二度と戻らなくなってしまったのだ。友達のSPから部品をもらい、譲ってもらったカメラ屋さんで修理してもらった。その時に入荷していた、これまた中古マニュアル一眼レフ「
PENTAX ES2」に目が留まり、やがてこれも貯めたお小遣いでゲットすることになる。

 ふるいもので遊ぶ。
 壊れたら直す。
 でも、セカンドマシンも用意する。
 今やってることと、おもちゃの大きさが変わっただけで、なんらかわりない。

 ところで、知ってる人が全国にいったい何人いるかは知らないが、この「SP」「ES2」、どちらもレンズマウント方式が「Pマウント」と呼ばれるねじ込み式(いわゆるスクリューマウント。むか〜しのLeicaとかがそうでした。)という前時代的なモノで、今では交換レンズなんかめったに見つからない。クルマでいえばホィールを止めてるネジがナットじゃなくてボルトになってるようなものか。(あ、チンクはボルトだ)でも、天文小僧にとっては、このPマウントは好都合で、望遠鏡に装着する際にメーカー固有のマウント変換アダプターが必要ないという利点があった。

 それから、高校に入り、天文部の部長が友達だったりしたので、ちゃっかり月に一度の夜の学校の屋上での天体観測会に潜り込んだりして、大学受験が本格化するころまで活躍していた「SP」と「ES2」だったが、大学に合格し、一人暮らしを始めてからは触ることもなくなっていった。

 

PRE-VIEW
「バッ直線」という作戦を発動させたKatsuseだが、なぜか昔話を始めてしまってる〜。Katsuseよ!それはリズムがいいからと付けてしまったタイトルへのこじつけなのか?それとも、バッ直線と関係あるのか??はたして、ほんとのほんとに赤チンのヘッドライトがともる日は来るのか?

次回、チンクと夜と写真機と 7 バッ直線!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その7

 さてさていよいよ暇もできました。赤チンにて勇躍むらっさんところに出動。Nagaiくんもさそおぅ〜っと。
「お、わかった。じゃ、迎えに来てくれよな。それと、むらっさんに今日出勤しとるかどうか聞いといたほうがいいぞ。おれが電話しとこ〜か」
「あ、そうして」

2分後

「おっかしぃ〜よ。誰も電話にでんぞぉ〜」
ま・さ・か。むらっさんのケータイに直電。
やっぱり。火曜はお店自体が休みだった・・・。知らんかった。

また今度行きますと電話を切り、後日出直す。

さあ、今日でなきゃ8月中の仕事にならんぞと再び出動。むらっさんが出勤かどうか確認〜って、
「今日は店長はお休みです」
なんだってぇ〜。またか。今日は月曜日なので、明日は火曜でお店が休み・・・。

Nagai談「おまえ、よくよくバッ直線にできん運命らしいな・・・」


こうなりゃしょう〜がない。
自力でバッ直線に挑戦だぁ〜!

近所のホームセンターで電線とリレーとヒューズとギボシを大量に買い込み、Nikiさんち(Nikiさんもあるクルマの電動ファンのバッ直線を決行中とのことだったので)に行ってトナリで作業開始。

ギボシや電光ペンチは使い慣れてるし、リレーを解説どうりに配線するだけなので作業は1時間ほどで終了。
車内にスイッチを設けて
ライトがつくようになった!
Nagaiも合流して試運転してみる。

結局、パッシングができなくなってたり(なぜ?)してるため、このままじゃ車検通らないけど、とりあえずは完成。もう夜間外出禁止令は解いてもいいかな。

勢い、赤チンに3人で乗ってDr.シンワに117の様子を窺いに行ってみることに。

でも、たいへんッスよ、117。ヘッドが下ろされてるし。1番2番ピストンが死んでたらしいし。ピカピカに研磨されてるし。

デジカメを取りに帰って117を激写したり、腹減ったのでラーメン食べに行ったり、なんだかんだと赤チンで走り回ってたら、なんだか、助手席のドアが・・・。

 

PRE-VIEW
むらっさん、ごめんなさい。自分で勝手にやっちゃったよ〜。「バッ直線」という作戦をとりあえず成功させたKatsuseだが、助手席のドアノブがきかなくなっていることを発見!さらに、夕日が落ちた後に赤チンを襲うトラブルとは!?はたして、二人の運命やいかに!

次回、チンクと夜と写真機と 8 ドアノブ!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その8

 助手席から赤チンをおりようとしたNikiさんが、車内のドアノブがきかないと指摘する。窓から手を出して車外のドアノブで開けて脱出。
 まっさか、そんなわけねーだろ、とか行って自分でもためしてみる。

ホンマや。開かね〜。

 そ〜いえば、「ビーチボーイズ」のルノー・キャトル@反町号もこんなことやってたっけね。

 まあ、内張へがしが得意な我々(←自慢にならない)は、さっそく赤チンの内張をへいで応急処置。ドアノブから延びていた針金が切れてました。
 それなら繋げばいいじゃん?と、タイラップを使っての応急処置を施したわけです。

こんな風にね。

もとよりもカッチリ開くようになったんだよね。これが。
 ま、32年もたてばこんなこともあるっしょ。

PRE-VIEW
この程度のマイナートラブルではびくともしないほそうでファミリーだが、夕日が落ち、あたりに夜のとばりが下りてくるころ、赤チンに次なるトラブルが襲う!はたして、二人の運命やいかに!う〜ん、じらしてねーではよ書け!!

次回、チンクと夜と写真機と 9 時速40km!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その9

 ついに点灯した赤チンのヘッドライト。
でも、光軸を合わせようと苦労している間に、それは起こった。

「じゃ、今日はこれにて解散、ということで」

「おつかれっした!」

などと解散して数秒後、すぐにわたしは赤チンの不調に気がついた。
おかしい、
不整脈気味?スピードが上がらない!?
どんなにアクセルを踏みつけても時速40kmどころか、スピードメーターは時速30km前後を行ったり来たり。

う・う・う。

当然、強制キープレフトシフトモードに移行し、ハザードを点灯(涙)。

 それでも、ちゃがまる事無く走ることは走るので、前の時のようなコイルやポイントが原因ではなさそうだ。
 とりあえず明るいところに止め、Niki&Nagaiも再び集合。
バッ直線したことが原因かと危惧されたが、ライトを消しても症状は改善されないため、燃料系かプラグだろうということで、結論。
 プラグレンチがないのでとにかく強制キープレフトシフトモードで帰宅。

あぁっ。後続の皆さんごめんなさい。や、やめてっ。パッシングしないでぇ〜。 

うーん、でもこのエンジン音、一発(1気筒)死んでるビートルの水平対向みたいでちょっと楽しいかも。
 そうか、一発死んでるのか?まー、117は2発死んでたらしいからそれよりゃましか。って、チンクが2発死んだら動かねーじゃねーか。
(チンクチェントは2気筒)


ヘッドを降ろされて治療中の117。
ピストンの頭が見えてます。

PRE-VIEW
原因は何です?不整脈の原因はっ!赤チンよ、キミのエンジンは本当に1発死んだのか?2・3回で終わるつもりだった「チンクのつばさ」の「チンクと夜と写真機と」シリーズは10回目でついに完結するゾ!

次回、チンクと夜と写真機と 10 完結編!
ウォッス!

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チンクと夜と写真機と その10

 NikiさんとNagaiといっしょに、福井夫妻が、全塗装してシトロングリーンメタリックに変身したPIAZZA(JR130)を見せびらかしに来てくれた。あれはいいなぁ。わたしもジェミニを塗り直そうかなとか考えちゃいますわ。
 ひとしきりPIAZZAを眺めた後、赤チンの不整脈原因究明大会が始まった。

ま、イチバン怪しいのはプラグのかぶりだろうってことで、プラグレンチをとりだし、作業開始。こういうとき、Niki@中古車マイスターは心強い味方。背中に後光が差して見える(と思ったら投光器の光だった)。

上がかぶってたプラグ。たしか6番。奥の方の2番プラグでした。下のプラグは手前の1番プラグで、じつはリコイルが施されているようなのだ。
 リコイルとは、損傷した雌ねじの再生手術のことである。でも、オールドタイマー誌に出てるのとは少し方式が違うようで、プラグ雄ネジ部になにかかぶせてあるので径が大きい(画像で分かるかな?)。このかぶせるやつを手に入れねば交換できないのだろうか?

案の定、奥のプラグが真っ黒けっけ。これはどうやらプラグかぶりですみそうだ。

 買い置きのプラグと交換して、不整脈は解消された。

fujiedaくんも現れて、みんなで旧車談義に花が咲く。

旧車は壊れる。ああ、壊れるさ。壊れるとも。錆びたりもするさ。

でも、直ったり、塗装したりして生まれ変わったときの喜びは大きい。負け惜しみとか、変わってるねとかよく普通の人には言われるが、彼らや彼女たちは知らないのだ。

このうれしい瞬間を。

もったいないことだ。

旧車の蘇生の瞬間は、再び産まれ変わる、誕生の瞬間だ。

蘇生したクルマの運転席に座ると、まるで母のおなかの中に戻ったような安心感につつまれ、幸せで満たされる。


ま、でも、壊れたおもちゃが直ってまた遊べる喜びなんて言う単純なところもある。

 さぁーて、夜道も安心になったことだし、ひさしぶりにSPES2でも出してきて、さそり座の赤い星でも撮りに行くとしますか!

 チンクと樹の上の秘密基地につづく

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