indexrear
(nagai3+117)2

 ボクの古い知りあいに nagaiさん という方がおられます。とりわけなんということのない,人畜無害な方です。悪いこともしないし,善いこともしない。ごく普通に毎日を平和に過ごされている,どこにでもいそうな人です。でも…,ひとつだけnagaiさんは普通ではなかったのです。そうです。nagaiさんは…,変な紅いクルマのケライなのです。これからお話することはそんなnagaiさんと変な紅いクルマとの,とりわけなんということのない思い出です。

ACT 1 (nagai3)2

 ボクがその紅いクルマをはじめて見る機会を得たのは,蝉がしきりにないている暑い日で,nagaiさんがそれと暮らしはじめてほどない頃でした。不意に見慣れない紅いクルマを紹介されて当惑するボクのそばでnagaiさんは笑っていました。その時の欣喜雀躍するなかに,どこか哀愁をただよわせていたnagaiさんの笑顔を,今でも懐かしく思い出すことができます。まったく,人という生き物はこういう無意味な記憶をどれくらい保存して生きているのでしょうか。

「117クーペというのだよ。ワトスンくん!」1%の好奇心と99%の義務感で質問したそのクルマの車種名をnagaiさんは気恥ずかしそうに答えてくれました。いったい何を照れていたのでしょう。「1977年生まれにしてはきれいな内装だろ。」nagaiさんは助手席に腰をおろしたボクに,同意を求めてる様子もなく話してくれました。およそ20年おちのクルマですか…。ずいぶん物好きなことですね。でもまぁ,昔からnagaiさんは「おばコン」だったし。あっ,でも…,nagaiさんより年下なんだ。 

 

 あの夏からいくつかの季節が移り行き,ボクもようやく国民の三大義務のうち2つを負うようになりました。nagaiさんもどうにかこうにか,これらを果たしているようです。117クーペと呼ばれるあの紅いクルマもどうにかこうにか元気のようで,たまにトラブってはnagaiさんを大騒ぎさせています。nagaiさんはクルマに対して特別な知識や技術が備わっているわけでなく,修理全般やメンテナンスを友人やショップまかせにしています。 だから,わいわいと大騒ぎするのは,せめて大騒ぎする役だけでも…。と努めているからなのかもしれません。そして,いつしかnagaiさんは,それらの大騒ぎをボクに自慢することで締めくくるようになりました。nagaiさん同様にクルマに対して特別な知識や技術が備わっているわけでないボクは,この聴き役をいつしか,せめて聴き役だけでも…。と努めるようになります。

「この前な…。」

さぁ,今度はどんな騒ぎがあったのか…,聴いてみるとしましょうか。

 

次回:ACT 2 (Wiper)2

もくじにもどる
'げすとぶっく'に記帳しようかな その前に'げすとぶっく'をみる

Copyright(c) 1997-2002 kasse&Nagai.
Powered by Geocities

-----------------------------404063060040199 Content-Disposition: form-data; name="userfile"; filename=""