front rear
(nagai3+117)2
ACT 2.0 (Wiper)2 その1
とあるBARで
「クルマが旧くなると,そのワイパーも旧くなる。当たり前のことだな。これがさらに旧いクルマになると,もっとワイパーは旧くなる。そして,さらにもっともっと旧くなり,ある限界を超えたとき,ワイパーは果てしなく吹っ飛んでいく。壊れたんじゃない。旧くなって吹っ飛んだんだ。つまり,日常,旧いクルマ乗りが遭遇するフライングワイパー現象(注1)は,ただワイパーが旧くなっただけのなんでもない現象なんだ。でも私は,こいつのこのなんでもないところが気に入ってるんだ。」
nagaiさんが発したよくわからないフレーズがボクの耳に届きました。ボクの聴覚神経は比較的優秀なのか,このよくわからないフレーズをも丁寧に処理し伝達してくれます。しかしながら,ボク自身はどうにもこれらをよく理解できずにいます。それでも,大人として最低限の礼儀をボクはわきまえています。
「なるほど。そうなんですか。」
儀礼的なボクのリアクションにnagai さんは言葉を続けました。
「ついこの間,私もフライングワイパー現象に遭遇してね。いやはやまったく,大変なめに遭ったよ。」
「それは災難でしたね。」
「ワイパーは大雑把いえば,2つのパーツから成り立っているのは君も知っているね。そう,ボディーと接続されるワイパーアームとガラス面を滑走するワイパーブレードだ。ワイパーブレードは,直接ガラス面に触れるラバーとそれを支えるブレードに分けることができる。普段,我々がワイパー交換と称する作業は,ラバーの劣化により低下したワイパーの機能を,ラバーもしくはワイパーブレード一式の交換により回復させるもので,厳密に言えば,ラバーまたはワイパーブレードの交換作業なのだ。」
「著しく劣化するのはやはりラバーですからね。ラバーのみの交換が経済的ですね。」
「たしかにそのとうりだが,ワイパーブレードも劣化する消耗部品である以上,はやめの交換が理想的だよ。それに,ワイパーブレードはその劣化が臨界点を越えると…。」
「フライングワイパーとなる…。」
「そのとうり!フライングワイパー現象のほとんどが,ワイパーブレードの劣化による飛翔で説明がつく。フライングワイパーはそのクルマのドライバーに心理的衝撃を与えるだけでなく,後続車にとっては物理的驚異になる。未然の予防が不可欠だよ。」
「以前にkatsuseさんがアルシオーネでフライングワイパー現象にあった時も,原因はワイパーブレードの劣化によるものでした。その時katsuseさんはワイパー作動中でしたが停車時であったため大惨事にはいたらなかったそうです。もし,雨の高速走行時だったらと想うとゾッとしますね。」
「フライングワイパー現象はその瞬間の大騒ぎ指数(注2)も高いが,ドライバーにしてみればその後の大騒ぎ指数も高いんだ。考えてもみたまえ,ワイパーが喪失するんだ。それが雨の夜だとしたら…。」
「ワイパー喪失による視界不良,しかも深夜の街灯のない田舎道だとすれば…。確実にササリ(注3)ますね。しかしそのような惨事をさけるためにも日頃のワイパーメンテナンスが必要であり,メンテナンスの強化がフライングワイパー現象の回避につながるわけですね。」
「しかし,それだけではすまされない事例が近年増加しているのだ…。」
「え!それはどういうことですか。」
つづく
次回:ACT 2.5 (Wiper)2 その2
よい子の解説コーナー 注1 フライングワイパー現象
ワイパー作動時もしくは走行時に突如としてワイパーの一部または全体が吹っ飛ぶ現象の総称。注2 大騒ぎ指数 危険度×稀度÷愉快度×100 マサチューセッチュ大学のバカート・チャウン博士らの研究班が提唱。
注3 ササル 刺さる、とも書く。ガードレールや壁とキッスすること。もしくはブタバナになっちゃうこと。
もくじにもどる
'げすとぶっく'に記帳しようかな その前に'げすとぶっく'をみる
Copyright(c) 1997-2002 kasse&Nagai.
Powered by Geocities