117日記

管理人Katsuseが書く「117とわたしたち」です。

 

117とわたしたち その1

 とある日曜日、いつものように「いすゞ」に遊びにいったわたしたちは、そこに真っ赤な「117クーペ」が入荷していることに気がついた。いすゞのお得意さんが下取りに置いていったものであるらしかった。値段は分からないが程度はものすごくいい。外装は少しさびている部分もあるものの、20年近くも前の車とは思えない。内装がまたびっくり。破れも日焼けも全く見受けられない。走行は2万キロちょっと。(もちろん1周して12万キロだろうとそのときは思ったが、最近では1周してなかったのではないかと考えている←のはKatsuseだけ?)これは、一度乗ってみたいと考えたわたしたちは、だれに買わせようかと思案し始めた。そこへ、ポーンと浮かんできたのが、ながい@グランドシビックだった。彼は当時、仲間内で唯一内定も決まり、車の買い換えを検討しているらしかった。就職もきまって貯金もある。いいカモだ。しかも、PA NEROをさがしているとの情報が入ってきた。これはいける。わたしはさりげなく「いすゞの中古車部に117が入ってるらしい」と彼の耳に入れ、四国JR120さんが夜さっそくつれていった。
 「おおっ!」
彼ははじめにこう叫んだそうである。そして、「買う!買う!」と即決した。あまりの食い付きのよさにおどろいたわたしたちは、せめて試乗してからにしたらは?とすすめた。次の日曜日に試乗することにして、翌日から117には「商談中」の札がかかることに。そして、彼は夜な夜ないすゞの駐車場へ行き、近付いたり離れたり、のぞきこんだりして「僕のクーペだぞ」とつぶやいていたらしい。そして、「売約済み」のはりがみをゆびさし、これわしのことやねん!と叫びたい衝動を必死にこらえていたという。
 日曜日、117試乗の日。ハンドルを握った彼は何を感じたのか。初夏の爽やかな風をあびながら、土手ぞいの道を1周してかえってきたあと、彼はハンコをおした。

117とわたしたち その2

 117が来てからの彼は、変わった。
シビックも気に入ってはいたようだが3年もたつとアラもみえてくる。
なによりも、大きな駐車場に止めたとき、その白いシビックの姿は簡単に見失ってしまう。まちがって他人のシビックのカギ穴に鍵を差し込んだことも一度や2度ではない。次に買う車はどこにいても見失うことのないような、1キロメートル先からでも見つけられるような個性的なものにしたいと考えていたらしい。
 それならば、とPA NEROにターゲットを絞っていたが、見つけたばかりの黄色いPA NEROはすでに売約済み。とほうにくれたところにやってきた赤い117クーペ。今までに乗ったどんな車とも違う117のハンドリング。FRのフィール。ちょっと古い車のすてきな内装。絶対無理だと思っていた会社から内定通知をもらった彼は、もはやてきなし。シビックの引き取り手も決まり、前途洋々たる彼の旧車ほそうで繁盛記が、今始まろうとしていた。

117とわたしたち その3

 117が来て彼が最初にやったことは、タイヤ交換だった。
ピカピカに磨かれた車体と、黒光りするおニューのタイヤ。いつ見てもどこで見ても彼の117は美しかった。しばらくは快調に走っていた117だったが、1カ月ほどたった9月。台風シーズンが到来。毎日のように雨が降っていたある夜。足下がじとーっと冷たいことに気づく。足下を照らしてみてビックリ。そこには金魚が飼えるほど雨水が溜まっていたのであった。
117はすぐに入院。いすゞの車は必ずこの症状が出るそうであり、どうやら構造的な欠陥であるらしい。(四国JR120のピアッツァ、とよ@A112のビッグホーンにもこの症状が現れた)われわれの主治医である「新和自動車」に初めてお世話になった117はすぐに元気な姿を取り戻した。このとき、ついでにと以前より不調であったバックランプ、ウインカーの修理も同時に行う。昭和52年式のクルマはやはり電気系と錆びが最大の敵である。このあと、11月にはいっていくつかの気になっていた錆びを一掃。
ひとつひとつの修理から帰ってくるたびに、彼は少しずつ117が自分のものになっていくのを感じていた。

117とわたしたち その4

 12月に入って、ある雑誌の売りたしのコーナーに5万円の117を発見した。
彼はすぐに部品取りとして購入を決意。先方は神戸。臨時ナンバーを用意して、自走して帰ってきた。いや、正確にはやっとの思いでどうにかたどり着けたのではあるが、それはまた別の話。ドナーとなるこの117は、純正のハーフホイールキャップのてっちんホイールをはいていた。こちらの方が117に似合うのではないかと考え、自分でジャッキを持ちだしてKatsuseとともに交換。うーん、ますます美しいと悦にはいってさっそく試乗。おどろいたことに、ホイール交換した117を運転していると、一見平らな道でなぜかハンドルを取られる。レーンチェンジ、ブレーキング、あげくにはまっすぐ走っているだけなのにハンドルが言うことを聞いてくれない。つのる不安。友人の誰もが「捨ててしまえ」と言う。それでも部屋を出て駐車場に止まっている117の顔を見るたびに増す愛着。ついに我慢しきれず四国JR120に相談したところ、「ああ、タイヤ換えたら直るよ」単純な答えが返ってくる。そこであらためて車を停め、タイヤのサイズを確認。
おや?4つともタイヤの銘柄が違うぞ。ダンロップ、ブリジストン、ミシュラン、トーヨー。ドナーの前オーナーは一体どういうタイヤ管理をしていたのだろう。おまけにそれらはすべてバイアスタイヤ。4輪ともすべてラジアルタイヤに付け替えたところ、うそのようにまっすぐ走るようになった。
またひとつ、彼は117クーペが自分のものになったような気がした。

117とわたしたち その5

 さらにドナー117には内蔵エアコンがついていた。いままで「おマタ冷え冷えクーラー」と呼ばれる助手席の足下に鎮座する外付けクーラーを使用していた彼は、これ幸いと交換を決意。これでいつ彼女ができても平気だなとほくそ笑む。が、彼に彼女ができたという話はもう長いこと聞かない。じっさいの話、117が恋人になってしまったようだ。合掌。

 卒論も快調に進んでいた彼は、このころ、衝動買いの悪魔に魅入られてしまっていた。ナルディウッドステアリング、フェラーリホーンの装着を決行。ステアリングは良かったのだが、Katsuseが当時GA-1シティにつけていた「ラリーストラーダ」に触発されて手に入れたフェラーリホーンはリレーもかまさずに取り付けてしまったため、「ふぇー。ふぇー」と情けない音を近所に響かせる。友人の、ヒロキ@部下3号に「あほか」と一笑に付され、イエローハットにてホーン用のリレーセットを購入。同時にふんだんにあるエンジンルームの余白に取り付けるL字ステーも購入。今度こそしっかりと接続されたフェラーリホーンは、驚くほどの大音量でイエローハットの駐車場に勇ましい音をかなでた。
だが、このホーンが活躍することなく、大変な事件が起こる。

117とわたしたち その6

 確かに、せまい道だった。いつもはめったに通らない1車線の道のブラインドコーナーを慎重に抜けたときだった。黒いシビックフェリオが減速もせずに117に向かってくる。一瞬の判断だった。ブレーキを踏んだのではぶつかる。彼はハンドルを左に切った。その判断が正しかったことは今も疑う余地はない。だが、彼は切りすぎてしまったのだ。何が起こったのか、彼は瞬時にして悟った。ハンドルを切った先には電柱があり、彼の赤い117クーペの左フェンダーにはくっきりとしかも深い傷跡が刻まれていた。深い後悔が彼の胸に訪れた。しかし、それはほんの短い間のことだった。いつもの駐車場に車を停め、改めてその傷を友人達と眺めた後、「ころんでもだだをこねておきない」もとい「転んでもただでは起きない」をモットーとする彼は、このさい前浦さん(板金塗装の名医)にお願いしてフェンダーミラーをビタローニのドアミラーに改造してもらおう!と気持ちを切り替えた。
 こうして肝心なときに鳴らすことができなかったフェラーリホーンとも別れを告げ、彼の117はアルファロメオのマークの入ったビタローニのドアミラーとアルファホーン(これはアルファロメオじゃなくアルファ社の)でモディファイされ、ますます愛着を増していったのであった。

117とわたしたち 番外編

 わたしの知っている117のお話はここまで。次はいよいよNagai@117自身による「117のガレージから」でお楽しみください。

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@117とわたしたち〜怒とうの会計事務所編〜

 会計事務所に就職した彼が、安月給と残業でぼろぼろになりながらも117で通勤しながら体験したトラブル記。2カ月ごとに駄々をこねる117。たまるストレス。たまらない預金。KatsuseのJA71ジムニーの後部座席で死んだように眠りながら、彼はある決心をする・・・。

@117原理主義と戦え!

 1977年製の彼の117は角目である。いつのころからかGTromanの英鉄@Etypeと同じように、ハンドメイド117原理主義者たちに嘲笑される夢を見るようになってしまった。角目のよさ、丸目のよさを愛憎入り交じりながら紹介する、独断と偏見による角目至上主義論。

@赤い色を見ると落ち着くんです

 彼の117は赤い。赤いというよりは朱色だ。117と過ごしているうちに、すっかり赤色に汚染されてしまった彼は、ある夏の日、Always Coca Cola男になっていることに気づく。

@117の前を通り過ぎていった女達

 「吉報!きっぽー」という言葉とともに訪れた大失恋から始まる、ちょっとほろ苦い恋愛物語。(え?絶対書かない?失礼しました・・・)

@117FAQ

@あなたのアイデアを募集!

 あなたの考えた117コンテンツのネーミングを募集します。
採用者には117の唐獅子エンブレムステッカーをプレゼント。

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