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(nagai3+117)2

ACT 3.0 (Cooler)2  

 蝉の声が脳髄に響きわたるとある真夏日。ボクのしりあいのnagaiさんが山から下りてきました。久しぶりのnagaiさんと117は少しお疲れのようです。山の暮らしに,はやく慣れてくださいね。nagaiさん。

「遠慮しないで,はやく乗るように。」

 ぼんやりと観察中のボクの横で,カチャリとドアが開いた。117のナビシートに座るのはいつ以来だろう…。随分とご無沙汰していた117のナビシートは,ボクを随分と暑苦しくむかえてくれた。ナビシートから運転席に目をやると,nagaiさんがすすけて見えます。あまりの熱気のため,車内中の空気が光を異常屈折させているのかな。

「1カ月前にパンパンに注入したフロンガス(注1)が,すでにもうないのだよ。」

 車内温度が常軌を逸していることに関する釈明は,ボクの質問よりもはやく聞くことができました。117のエアコンは,昨年よりもさらに状態が悪化しているようです。フロンガスをガソリン給油時ごとに注入することも考えていたらしいのですが,それはフロンガスをまき散らすことに等しい行為であり,オーストラリアの子供たちの健康と笑顔を考えると,思いとどまざるをえなかったそうです。やさしいですねと素直にボクが感想をもらすとnagaiさんは

「才能にいきづまり,追いつめられた作家やミュージシャンは,きまって自然愛や人間愛に逃亡(注2)する。まぁ,それに似たようなもんだ。」

とこともなげに答えました。追いつめられているんですか?nagaiさん。

「今日はまだ,ましだぞ。炎天下に渋滞に巻き込まれた時なんかは,脳が煮えるようだ。」

「確かに走行中は三角窓からの風が肌に心地よく,慣れれば,夏を満喫しているような錯覚にとらわれますが,停車中は地獄ですね。でも,脳が煮えたりするようなときはどうするんですか。」

「そういうときは自己解離するのさ。」

「じこ…,解離?」

「ああ,灼熱地獄を受けているのは自分ではなく他の誰かだという感覚を持ち, 別の意識状態を作り出すことで,脳が煮える苦痛から逃れようとする精神防衛機能のことだよ。最近は意識的に解離できるようになったので,炎天下もへっちゃらさ。」

 

 nagaiさん,しばらく会わないうちに随分とこうばしいキャラになりましたね。最初,nagaiさんがすすけてみえたのは,やっぱり…,熱のせいだったんですか。

                                            つづく ACT 4.0 (Triangle window)2

よい子の解説コーナー

(注1) フロンガス
 ご存知、オゾン層破壊の悪玉として有名。nagaiさんはもう天国へは行けないくらいお漏らししちゃいました。
(注2) 逃亡
 クスリに逃げるよりは人間的。まれに名作が生まれる。

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